英語の語彙力を一番効率よく伸ばす方法
英単語帳の丸暗記をやめ、大量のリーディングと文脈理解で語彙力を着実に積み上げてきた方法を紹介します。覚えたはずの単語がすぐ抜けてしまう方へ。
この記事は中国語の原文から翻訳したもので、著者が校閲しています。 原文(中国語)を読む
英語を勉強しようとすると、まず「とにかく英単語を暗記しよう」と考える人が多いと思います。単語を覚えて暗記さえすれば、語彙力は自然に伸びるはずだと。
でも実は、そう単純ではありません。単語帳の丸暗記には、はっきりとした弱点がいくつもあります。
まず、退屈で効率が悪いこと。そして、その場では覚えたつもりでも、いざ実際の英文の中で出会うと、その文の中で結局どういう意味なのかピンとこないことがよくあります。「文の中の単語は全部知っているはずなのに、つながると文全体の意味がさっぱり頭に入ってこない」。そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。
さらに、ひたすら単語を暗記するやり方は続けるのが本当に大変です。続けているうちに英語そのものが嫌になり、「自分には語学の才能がないんじゃないか」「いつになったら身につくんだろう」と自信までなくしてしまいがちです。しかも、暗記したからといって使えるわけではなく、いざ自分で使おうとすると、どの単語を出せばいいのか頭に浮かんでこないのです。
つまり、その単語を「一度暗記したことがある」というだけで、本当の意味で自分のものにはなっていないのです。
自分が本当に使いこなせている英単語にはどんなものがあるか、ちょっと考えてみてください。apple や banana のような単語ではないでしょうか。なぜ身についているかというと、普段から目にする回数が多いからです。一方で、日常であまり出会わない単語を単独で無理やり覚えても、少し時間が経てばほとんど忘れてしまいます。
私が実際にやってきたこと
以前の私も、まさに単語暗記に頼っていたひとりでした。英語の勉強は何度も始めては挫折するの繰り返し。転機になったのは4年前、仕事を辞めて少し休みながら次の方向性を探していたときに、もう一度英語をやり直そうと決めたことでした。
その頃、動画サイトで「理解可能なインプット(Comprehensible Input)」や「i+1」という考え方を初めて知りました。語彙力を伸ばすのに本当に効果があるのは、たくさん聴いて、たくさん読み、豊かな文脈の中で単語を蓄えていくことだとわかったのです。丸暗記するのではなく、読書の中で出会った知らない単語を留めておき、その場の文脈の中で意味を理解しようとするやり方です。
それ以来、私は従来の英和辞典を使うのをやめ、Web版のケンブリッジ英英辞典や ChatGPT を使って、英語の定義と例文で意味を理解するようにしました。ときには Google 画像検索でイメージを確かめて、印象を深めることもありました。途中でバイリンガル表示の英語学習アプリも試しましたが、画面を切り替えなくていい反面、どうしても母国語の訳ばかり目で追ってしまい、結局「英語を理解している」のではなく「訳語を覚えているだけ」だと気づきました。その後しばらく LingQ を使うようになり、英語の解説を読み、読みながら知らない単語に印をつけていくスタイルに慣れてきて、ようやくリーディングを習慣として続けられるようになったのです。
英語で英語の解説を読むやり方は確かに効果が高かったのですが、ずっと悩まされていた問題が2つありました。
1つ目は、単語を調べるたびに読書の画面から離れて、いくつものアプリを行き来しなければならないことです。思考がぷつっと途切れてしまいますし、本を読む楽しさも削がれてしまいます。しかも普通の辞書を開くと意味がいくつも並んでいて、今のこの一文にどの意味が当てはまるのか、自分で判断しなければなりません。
2つ目は、辞書に載っている英語の定義そのものが難しすぎることがよくある点です。たとえば中級レベルの単語を調べたのに、ケンブリッジ英英辞典ではさらに難しい上級レベルの単語を使って説明されていることがあります。説明文すら読めず、その中の単語をもう一度調べ直す羽目になる。Web版のケンブリッジ英英辞典を使っていた頃は、しょっちゅうこんな状態でした。
そこで昨年、「これだけ AI が進化した今なら、文脈に合わせて意味をわかりやすく教えてくれる英語リーディングアプリを自分で作れるのではないか」と思い立ちました。
私は英語の定義で理解するスタイルがとても気に入っています。英語を英語で理解し、英語の文脈の中でそのまま納得する感覚は、私たちが子どもの頃に国語辞典を引いていた感覚に近く、英語のまま理解する語感が育ちやすいからです。母国語の訳語だけを頼りにしていると、結局は頭の中で翻訳する癖から抜け出せません。ただ、それには「その英語の説明自体がすっと読めること」が大前提になります。
自分で数ヶ月かけて形にしたのが、今の SentiaRead です。私が一番解決したかったのは、次の3つでした。
- 知らない単語をタップすると、今読んでいる一文の文脈をそのまま読み取り、その場面に一番ぴったりの意味だけを1つ提示します。関係のない意味は省かれるので迷いませんし、読書画面から離れる必要もありません。
- 自分の英語レベルに合わせて説明の難易度を調整し、理解できるやさしい英語で単語の意味を説明します。英語の解説と例文だけではピンとこないときは、もうワンタップで母国語の対訳を補助として確認できます。
- 単語は全部知っているのに構造が複雑で読みづらい長文に出会ったら、AI に自分のレベルに合ったシンプルな英語へ書き直してもらい、まず大意をつかんでから元の文を読み返せます。
数年間続けてきて、語彙力を伸ばしてくれた5つの習慣
使いやすい道具に加えて、この数年間で実際に私の語彙力を積み上げてくれたのは、日々のこんな習慣でした。
1. 自分が本当に興味を持てるものを読む
読み続けるうえで、興味があるかどうかは決定的に大事です。だから私は普段、退屈な教材はほとんど読まず、もともと自分が知りたかった内容ばかり読んでいます。たとえば海外のテック系ニュース、スタートアップのストーリー、Anthropic チームの技術ブログ、あるいは洋書の小説などです。
SentiaRead にもインポート機能を作ったので、普段は EPUB や PDF の電子書籍、Web記事、ポッドキャストの字幕まで、全部アプリに取り込んで読んでいます。自分が読みたいと思えるものこそが、一番の教材になります。
2. 背伸びしすぎず、理解できる難易度の素材を選ぶ
最初から難しすぎる大作に挑むのはおすすめしません。素材が難しすぎると、2ページ読む間に10回以上も辞書を引くことになり、あっという間に嫌になってしまいます。全体の9割以上の単語がわかり、知らない単語が少しだけ混ざっているくらいの素材が一番心地よく読めます。ストーリーや記事の内容をスムーズに楽しみながら、ついでに新しい単語にも触れられるくらいのバランスです。
3. 無理に暗記せず、違う記事の中で何度も出会う
今の私は、知らない単語に出会ったらタップしてその文の中で意味を理解し、そのまま先へ読み進めます。その場で無理に暗記しようとは一切しません。
言語学者の Paul Nation の研究によると、読書を通じて新しい単語を身につけるには、通常5回から16回ほどその単語に出会う必要があり、しかも別々の記事や異なる場面で出会うことで、脳の中に柔軟な理解が作られていくそうです。
SentiaRead で調べた単語は、そのときの元の文と一緒に自動で単語帳に保存され、あとで別の本や記事を読んでいるときに再登場すると自動でハイライトされます。私自身、この仕組みがとても気に入っています。同じ単語がいくつもの違う記事の中で光るのを見るたび、心の中で「あ、また会ったね」と思うのです。そうやって何度か再会するうちに、気づけば自然と頭に残っています。
4. めったに出会わない単語は、短い読み物の中で復習する
普段の出現頻度が低すぎて、時間が経つとどうしても忘れてしまう単語もあります。ただ、私は復習のときも単語カードをひたすらめくるのは好きではありません。復習したい単語をまとめて、ほどよい難易度の短い英文ストーリーに組み込み、まずは意味の通った読み物の文脈の中で再会してから、覚えているか確かめるようにしています。スマホ、タブレット、デスクトップアプリ、E Ink 端末、Chrome 拡張機能のどれで印をつけた単語も、すべてひとつに同期されます。
5. 耳と目の両方から英語に触れる
記事を読むだけでなく、普段から英語のポッドキャストもよく聴いています。読んでいて発音に自信がない文があれば音声読み上げを再生してみますし、ポッドキャストを聴くときは同期された字幕を目で追いながら聴き、わからない単語があればその場でサッとタップして調べます。多聴と多読を組み合わせると、語感が育つスピードがぐっと上がります。
突き詰めると、私自身が実感しているのは「語彙力は根性で丸暗記して増やすものではなく、文脈のある大量のリーディングやリスニングの中で、何度も出会い、理解し、少しずつ馴染んでいくものだ」ということです。もしこれまで単語の暗記でつまずいてきたなら、やり方を少し変えて、まずは自分が興味を持てる記事を1本読むところから試してみてください。

